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3月11日午後は会議の途中であった。大きな揺れで眠気が吹き飛ぶ。火元の確認をして、外に飛び出した。その間、どのくらいの時間であったのだろう。ああ、これでおしまいか、と思ったものだ。地震の揺れが少し落ち着いて職場の成り行きも一段落したので僕は歩いて帰途についた。すべての電車がストップしている。落日を追いかけながら国道246号線を西に向かう。その日の天候は晴れたり曇ったりであった。雲量は50%ほどか。そこ、その雲に写る西日が妖しく変化する。被爆した世界の空がどのように変わろうとも、この空に浮かぶ雲の色は美しいと思う。
さて、このところとみに感ずることとして、描くという行為に対する疑問符が大きい。ままよ、何も描くことが無くなった訳ではない。ただ、描くことの根拠が薄れてきただけだ。特に、こうした天変地異が起きたときに、作家活動のむなしさを感じるのは僕だけではあるまい。けれど、美しいと感じる心性は残る。ならば、それを、この空に反映する色彩を描くことが出来ないか。否、残されたものはそれぐらいかもしれない。所詮作家の存在など、その程度のものだと思っていれば間違いは無い。 |
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