たとえそれが一本の点や線でさえも、ヒトは形あるものを好む習性をもっている。非具体的なのっぺりとのばされた色面でさえも、覗き込むように、そこに痕跡を求め安心する。果たしてそうした習性を越えられるのか。自己課題である。

絵は理屈で描いているわけではない。

しかし、理論は必要かもしれない。特に初発の行為のため、僕たちはその方向性だけでも確かめることが必要だ。だが、後は成り行きの部分が多い。そこに創造ということの謂いが隠されていると思う。

経済でもないし、医学でもない。
人を救うという宗教でもない。

最初にそのことだけでも確認しておきたかった。

あえて言えば、絵画とは、眼で感じる、喜びかもしれない。